Clinico-pathological Study of Coronary Sclerosis of the Aged
Atsuro Kishimoto
Abstract
Open-access reader
Atsuro Kishimoto
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老年者では無痛性心筋硬塞の頻度が高いことがひとつの特徴といわれている. 本論文では15例の高齢者心筋硬塞剖検心につき, 臨床症状から無痛性心筋硬塞6例, 有痛性心筋硬塞9例に大別し, 両群における加齢の影響, 血圧, 血清総コレステロール値, 糖尿病の有無を比較検討した. 又病理学的に心重量, 冠状動脈石灰化度, 狭窄度, 心筋硬塞の範囲, 型, 新旧及び血栓の有無などを比較した.ついで, 硬塞心における心筋内血管構築を検討する為, 急死例として監察医務院で剖検された心筋硬塞心10例を加え, 冠状動脈の立体的造影を施行し, 冠状動脈構築の変化, 動脈間吻合, 並びにその心筋病変との関係について立体的に検索し, 老年者の心筋硬塞の成立と修復の機転について考察した.成績: 1) 無痛性硬塞の平均年齢は83歳, 有痛性硬塞の平均年齢は75歳であり, 前者が有意に高齢であった(p<0.05). しかし後者の方が血清総コレステロール値は高く, 糖尿病の頻度も多かった. 2) 心重量は有痛性硬塞で有意に重く, かつ冠状動脈の狭窄度も高度であった. 一方, 冠状動脈石灰化度は無痛性硬塞が有意に高度であった (p<0.05). 3) 心筋の虚血性病変は無痛性硬塞では主に散在性で新鮮硬塞巣は少なく, 陳旧性硬塞が大多数を占めた. 有痛性硬塞では広範型で, 新鮮硬塞と陳旧性硬塞の混在を認めた.4) 高齢者心筋硬塞は監察医務院ポックリ死例に比し, 心内膜下副血行路, 室中隔吻合枝がよく発達していた. 5) 心筋内血管稠密像 (Hypervascularity) は硬塞急死例に著明であったが, その他の高齢者硬塞心にも認められた. この Hypervascularity は組織学的には硬塞後2週~3カ月を経過した心筋組織像にほぼ一致するものと推定された. 6) Hypervascularity は心内膜側及び乳頭筋内に主として存在し, 心外膜側では少なく, 特に心内膜下硬塞ではこの発達が著しかった. これを構成する血管の内径は10~50μの太さが大多数であるが, 一部乳頭筋などでは200μに達する血管拡張像を認める事があった. これらは互いに吻合を形成し, 虚血部心筋の修復に寄与していた.
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老年者では無痛性心筋硬塞の頻度が高いことがひとつの特徴といわれている. 本論文では15例の高齢者心筋硬塞剖検心につき, 臨床症状から無痛性心筋硬塞6例, 有痛性心筋硬塞9例に大別し, 両群における加齢の影響, 血圧, 血清総コレステロール値, 糖尿病の有無を比較検討した. 又病理学的に心重量, 冠状動脈石灰化度, 狭窄度, 心筋硬塞の範囲, 型, 新旧及び血栓の有無などを比較した.ついで, 硬塞心における心筋内血管構築を検討する為, 急死例として監察医務院で剖検された心筋硬塞心10例を加え, 冠状動脈の立体的造影を施行し, 冠状動脈構築の変化, 動脈間吻合, 並びにその心筋病変との関係について立体的に検索し, 老年者の心筋硬塞の成立と修復の機転について考察した.成績: 1) 無痛性硬塞の平均年齢は83歳, 有痛性硬塞の平均年齢は75歳であり, 前者が有意に高齢であった(p<0.05). しかし後者の方が血清総コレステロール値は高く, 糖尿病の頻度も多かった. 2) 心重量は有痛性硬塞で有意に重く, かつ冠状動脈の狭窄度も高度であった. 一方, 冠状動脈石灰化度は無痛性硬塞が有意に高度であった (p<0.05). 3) 心筋の虚血性病変は無痛性硬塞では主に散在性で新鮮硬塞巣は少なく, 陳旧性硬塞が大多数を占めた. 有痛性硬塞では広範型で, 新鮮硬塞と陳旧性硬塞の混在を認めた.4) 高齢者心筋硬塞は監察医務院ポックリ死例に比し, 心内膜下副血行路, 室中隔吻合枝がよく発達していた. 5) 心筋内血管稠密像 (Hypervascularity) は硬塞急死例に著明であったが, その他の高齢者硬塞心にも認められた. この Hypervascularity は組織学的には硬塞後2週~3カ月を経過した心筋組織像にほぼ一致するものと推定された. 6) Hypervascularity は心内膜側及び乳頭筋内に主として存在し, 心外膜側では少なく, 特に心内膜下硬塞ではこの発達が著しかった. これを構成する血管の内径は10~50μの太さが大多数であるが, 一部乳頭筋などでは200μに達する血管拡張像を認める事があった. これらは互いに吻合を形成し, 虚血部心筋の修復に寄与していた.
Key concepts: Hypervascularity, Medicine, Pathological, Internal medicine, Pathology